La T-Calf | June 22, 2004 | |
XTC Apple Venus XTC アップル・ヴィーナス (11st album ; 1999) |
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前作「Nonsuch」から早7年、そういやXTCって解散しちゃったんかなぁ?と不安になり、というかそう思っていた所に発表されたのがこのアルバムでした。 「Nonsuch」がいかにもXTCらしい、悪い意味での(笑)“まさに英国!!(←イギリスではなくってね)”といった、ヒネくれていつつもキュンとくるようなポップ・ソング爆発だったので、今度はどんなXTC流ポップを聴かせてくれるかと大期待していました。で、発売と同時に購入したのですが、ワクワクしながら箱を開けて見たら、予想はだいぶ裏切られました。それはもちろん良い意味での裏切りでしたが。 曲調は以前のものとはだいぶ違うものだし、オーケストラやストリングスを大いに活用していて、従来のバンド・サウンドとはまた違ったりもしていますが、アルバムのそこかしこから、まさに匂い立つ薫り、そしてその手触りはまさにどれをとってもXTCにしか出し得ない、上質の『ポップ・ソング』そのものです。 上記にも書いた通りに、大胆にオーケストラ・サウンドを導入し、時流におもねる事なく我が道を行くといった宣言しているかの如き、美しき“River Orchids”や“Easter Theatre”、耳に馴染みの良いギターと美しいコーラスを聞かせる“I'd Like That”、アコースティックなギターに乗せて淡々と、そして情感がたっぷりと込められ歌われる“Your Dictionary”などなど、どれもこれも美しい珠のような楽曲群。どれもこれもが美しいです。 パンクだったり、ニューウェイブだったり、ダブだったり、ブリティッシュ・サウンドだったり、その時々で姿や表現方法を変えつつも、変わらないXTCのXTCたるものがこのアルバムにも確実に存在します。言葉には表す事の出来ない、なんていうかXTCのDNAが。 “This is Pop”!! 〜「White Music」より。 |
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これもオススメなXTCの一枚。 Nonsuch (1992) |
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このアルバム、XTCファンからは評判悪いらしいね。「曲が多過ぎ」「後半ダレる」などなど。イイアルバムだと思うんだけどね。 ポップであり、ジャンルは何でも来い!なゴッタ煮な所や、あくまでも英国!な音作りにこだわっている所、そしてポップでありながらも常にポップに対して半身に構えてる感じな所はXTC以外の何者でも無いですし。 軽快で爽やかといってもイイくらいなギターの音から始まるM-1「The Ballad Of Peter Pumpkinhead」、でも歌っているのは「カボチャ頭のピーター」。印象的なドラムの音に導かれ艶のあるヴォーカルを聞かせる「Dear Madam Barnum」、でも道化者の歌。ペット・サウンドのような多重コーラスと奥行きのあるヴォーカル、そしてリズミカルで楽しげなギターの「The Disappointed」、でも歌っているのは失望であり絶望だったり。 なんだそれ?!って言いたくなる気もしますが、それでこそXTC、そうでなきゃって感じ。歌詞に目を向けなければビートルズやビーチボーイズの系譜に連なる古き良き味を持ったポップ・アルバム、でもその裏でな〜んか嫌な視線を感じる...、そんな安易に聞き流させない何かが、XTCの持ち味なんじゃないかなぁ。 実は私、XTCのアルバムは後期になればなるほど好きなんです。逆に初期の名盤と言われている「White Music」や「GO2」はあんまり評価してないんですよ。XTCらしさよりもなんて言うか若さゆえのギラギラ感が前に出ちゃっているような気がして、聴いていると「暑過ぎる!!」って感じです。 それに引き換え近年の諸作品は、イイ年の重ね方をしたバンドの味が出てきて、丸みがあるけれども「何かヤな感じ」さ加減が具合良いです。それの最高潮が上に挙げた「Apple Venus」でありこの「Nonsuch」じゃないかと思っています。 「XTCはパンクであり、トンガってないと!」と思っている人も、ダマされたと思って、後期のアルバムも聴いてみてください。 ホントにダマされた〜!ってなるかもしれませんが(苦笑)。 |
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